6日目、 アヴァランチェ・キャンプ〜ウルタ谷
      
(Avalanche Camp〜Q. Ulta)



 歩いた日:2007年6月9日

コース:Avalanche Camp→(1h30min)Punta Yanayacu→(3h)Ulta谷
        合計時間:4h30min    最高標高:4,850m  標高差:登り200m、下り1,000m

6日間のトレッキングも今日が最終日。今までで標高が一番高い峠・ヤナヤク(Yanayacu 4,850m)を越える。7時半に出発。天候は今までで一番雲が多い感じがするが、晴れの部類、山も良く見えている。

テント場を出ると直ぐ急な登りになる。左手に夜通し雪崩の音がしていた氷河を見ながらジグザグに登る。振り返ると、テントが見えコックとロバ隊がテントの撤収をしているの小さく見える。氷河湖の下には昨日歩いたイチック・ウルタ(Ichic Ulta)の谷が良く見え出し、前の晩のテント場のモリノ・パンパ(Molino Pampa)の平地も良く見える。

キャンプ地を振り返る、
一番手前の平地が
アバランチェ・キャンプ
昨日登ってきたイチック・ウルタ
(Ichic Ulta)の谷を振り返る



大分登って岩稜地帯になったあたりで振り向くと、北方向に真っ白い山が見える。何処の山が見えているのか分からないので、メモをして帰国後調べた。中央の山は、その形と氷河の特長から、3日目にウニオン峠の直ぐ横に聳えていたタウリラフ(Taulliraju 5,830m)だと分かる。その左横の3つの山が分からない。地図で調べてみると、今まで何処からも見えなかったプカフィルカ北峰(Pucajirca Norte 6,046m)と プカフィルカ中峰(Pucajirca Central 6014m)、それに プカフィルカ西峰(Pucajirca Oeste 6,009m)の3山であることが分かった。遠くからではあるが、6,000m峰を3っも余分に見ていた事が分かり、うれしくなった。こんな些細な所がHPを作っていて楽しいところだと思う。

山は左からプカフィルカ西峰、中峰、
頭が雲に隠れているのが北嶺、中央はタウリラフ   
                  



登るに従い岩の棚に作られたトレイルになり、左側が切り立った崖になってくる。6日間のトレッキングで注意して歩かねばならない所と言えば、この部分だけと言ってもよい。

登りでは元気で早足のヨーロッパ人の二人は、突然へっぴり腰になり右の岩に持たれて歩き出し、超スローな歩きとなる。切り立った崖のトレイルには違いないが、荷物を運んで馬も通るしロバも通る。道幅もあり、さほど緊張するところではないはずなのだが。
ヤナヤク峠前のトレイル ヤナヤク峠直前のトレイル(写真上端)



ヤナヤク峠到着。標高4,850m。今回ペルーで歩いた最高標高だ。高度に大分慣れたのかキャンプ場から標準時間2時間の所を1時間半で来た。
防寒衣を着て風を避けて峠の岩場でゆっくり休憩する。
ヤナヤク峠の岩場 ヤナヤク峠



峠の岩場で休憩していると、早くもロバ隊が岩場のトレイルを登ってきた。馬もロバも特に手綱を持たれて歩いて来る訳でもなく、勝手にパカパカと歩いてくる。見てる間に峠を越えて行ってしまった。

ヤナヤク峠 峠に差し掛かるロバ隊


峠からの景色は素晴らしい。歩いて来た北東の方向は、右にコントラヒエバス(Contrahiebas 6,036m)から張り出した氷河の下に湖が見え、その先にイチック・ウルタ(Ichic Ulta)の谷が伸び、その先はアマゾン方面に繋がっているはずだ。

ヤナヤク峠から北東の方向を見る


ヤナヤク峠から西の方向を見る  拡大→
右の山はチョピカルキ、左の山はワスカラン、
湖はヤナヤク湖
 


西はと見ると、もっとすごい。景色ががらりと変わりチョピカルキ(Chopicarqui 6,354m)が天を突き、ワスカラン南峰(Huascaran Sur 6,768m)がその左に続いて見え、チョピカルキの正面下には氷河湖・ヤナヤクが静かに水を湛えている。
しばし言葉も無く見入る。



ヤナヤク峠を下る


ゆっくり景色を堪能した後、峠を後にする。下り始めはチョピカルキを正面にし、次に上から見えたヤナヤク湖の淵を通る。急な下りをどんどん進みカネワ(Caneahua)の谷に入る。


谷が左にカーブし正面が開けたとたん三角錐の白い山が突然前に現れた。ウルタ(Ulta 5,876m)の山だ。形が綺麗なせいかすごく高く見える。
           カネワの谷から見るウルタ山  拡大→


谷は次第に広くなり、下り道も緩やかになる。峠を越えるまではコントラヒエバス(Contrahiebas 6,036m)の北側を見ていたが、今度は南側が見えてきた。

ほぼ平らな草原に着き休憩。ここは、周りにルピナスの花と黄色の花が咲き乱れ、周囲はウルタの山とコントラヒエバスの白い氷河の山に囲まれた別天地であった。
コントラヒエバスの南斜面が見え出す   ウルタの山
ルピナスの花とコントラヒエバスの山 太いがこれもルピナスの花


谷はますます広くなり、トレイルは何処を歩いても良い状態。一面にルピナすが咲き、放牧の牛が現れる。のどかなトレイルを白いウルタの山に向かって気持ちよく歩く。






ウルタの山に向かって歩く




ワスカランの前峰


右手には、手前の山の間から、ペルーの最高峰・ワスカラン(Huascaran 6,768m)の真っ白な前峰が顔を出す。



トレッキングは小川を渡って終わった


次々と変化する景色を楽しみながら、進むと、小川の前でコックが待っていた。トレッキング最後の昼食だ。川向こうに少し行った所には道路があり既に車が待っている。トレッキングもいよいよ終了だ。昼食を食べ橋を渡る。車に着き全員と握手。良く歩いた。よくやった。
ロバと馬とロバ使いはこれから来た道を戻るという。ロバの荷物は既に車に乗せかえられており、我々がビックリしている間にさっさと出発して行った。ロバと馬の背中には何も無く、ロバ使いは小さなザックを背負っただけだ。歩いてきた峠をまた越えて、今日は何処まで戻るのだろうか。



車に乗り出発。遠ざかるウルタの山を車から眺める。心配だった体力も持ったし元気で終わる事ができた。2人とも救急用の馬に一度も乗らずに歩けたし、天気は毎日が晴れだったし、良かった良かった。


途中国立公園の検問所があり、ここで記入用紙に名前と国名と年齢を記入しパスポートを見せる。ガイドが管理官と何やらお金の話をしていると、国立公園の入園料は1人40ソールだと言う。お金払ったが発行してくれるはずのチケットをくれない。同行のオーストラリア人は笑いながら「我々のトレッキングの記録は無くなった」と私に言う。車に乗って出発する我々を管理官は手を振って送ってくれた。
帰国後調べたら国立公園の入園料は2日以上入ると年間パスが必用で、料金は1人65ソール(約2,100円)と決められていて、払えば年間パス(チケット)を受け取ることになっている。


山あいを抜けると何度も見たワスカランの山がまた一際大きく見え出した。明日、元気に歩けそうなら日帰りハイキングを予定をしているので、またワスカランを見ることになる。まだ山にさようならを言うのは早い。

帰りの車から右上にウルタの山を見る 山あいを抜けると大きなワスカランが威容を誇る




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