5日目、 モリノ・パンパ〜アバランチェ・キャンプ
        (Molino Pampa〜Avalanche Camp)


 歩いた日:2007年6月8日

 コース:Molino Pampa→(2h)急な登りの始まり→(2h)Avalanche Camp
         合計時間:4時間  最高標高:4650m  標高差:登り1,050m


黄色い花の歓迎
左前方に
明日越えるヤナヤク峠が見える


明日、ヤナヤク峠(Punta Yanayacu 4,850m)を越える為に、今日は一気に1,000m以上も標高差を稼がねばならない。今日泊まる予定の最終キャンプの標高は5日間のトレックで最も高い4,650mもある。しかし、歩く距離は今日は少ないというので、少し安心。
雲が少し出ているが、今日も晴れの天気。

イチック・ウルタ(Ichic Ulta)の谷の左岸を進む。少し歩き始めると左前方に明日越えるヤナヤク峠が見え始めた。
暫くはなだらかな登りが続き、トレイルには黄色の花が咲き乱れている。今までで最も花の多いトレイルだ。




所々に松林が現れる。樹皮がべらべらと浮き上がっていて、幹と枝がクネクネと曲がった幻想的な松で、ここでしか見ることができなかった。松林を抜けるとまた黄色の花の群落で、このコースは花が多く楽しませてくれる。

樹皮がぺらぺらと剥がれるクネクネ松 そしてまた黄色い花の群落



緩い登りを過ぎると、目の前に大きく遮る壁のような斜面が突然現れ、これをジグザグに登りだす。コントラヒエバス(Contrahiebas 6,036m)の山からせり出した氷河の端が時々崩れ落ち、雪崩となって、雷のような轟音を出すのが聞こえてくる。
登るにしたがい小さな氷河湖が背後に見え出す。音がする方向を振り向き、よく見ると氷河が崩れて湖に落ちていくのが見える。

ジグザグの登り始めから振り返る 中腹から振り返る



ジグザグの登りの最終から


中腹で、早くもロバ隊に抜かれる。標高が高いせいで、足が前に進まないが、それでも大分高度には慣れた気がする。一歩一歩登っていくと、小さな氷河湖の奥に、もっと大きい火口湖のような湖が見え出した。ここまで登ればもう少しでキャンプ地に着く。




アバランチェ・キャンプに到着。前に転がっているのは、
ロバが運んでくれたエアマットと寝袋と個人の荷物。


ようやくテント場に着いたが、時間はまだ12時20分。既にテントは張られていて、昼食の準備中だ。今日もゆっくりできるが、標高が高いし、テント場は岩棚みたいなところで、歩き回って見て回るほどの広い場所がない。その代わりに、谷を挟んだ向かいの氷河が、退屈させない演出をしてくれた。



氷河からは氷が融けて幾筋もの滝になって落ちている。時々ガラガラーゴーという音とともに雪崩が起こり、氷河の端が崩れていく。
テント場から見る雪崩の巣、
氷河から細い滝が行く筋も
流れているのが見えるだろうか

この滝にそって雪崩が起こる

テントの中から氷河を見る

このキャンプ場をアバランチェ(雪崩)・キャンプと言うが、ピッタリの名前だ。
テントの中に入っても氷河が見えるように立ててくれている。テントの中で横になり、雪崩の音を聞き、雪崩の場所はどこかと目を凝らす。見ていて飽きない。


今日が最後のキャンプ、夕食にペルーの酒、ピスコ・サワーが出され、これで乾杯。ピスコとはぶどうの蒸留酒で度数が高い。これにレモンと卵白を加えてシェイクしたカクテルがピスコ・サワーで、極めて美味しい。標高が高いところでのアルコールは良くないはずだが、5日目の夜ということでもう問題なしということのようだ。

所が夜中、胸が苦しくなって目が覚めた。酸素不足で胸が詰まる感じの息苦しさだ。1時間おきくらいにまた同じ苦しさで目が覚める。標高が5,000m近いせいなのか。夕食で飲んだピスコ・サワーのせいなのか。今まで経験をしたことのない息苦しさが夜中寝ているときに周期的にやってきた。
朝起きてからは別に何でもない。朝食時にオーストリア人の男性に、昨夜の息苦しかったことを、知ってる英単語を並べて何とか伝えると、彼も同じだったと言う。Mieも含めて女2人はどうも無く、何故か男2人だけが同じ症状になったようだ。男2人は、ピスコ・サワーを沢山飲んだせいだろうか。
今回のトレッキングでの感じだが、高所順応は全般を通して女の方が強いというか適応能力があるように思えた。

帰ってから分かったことだが、5千メーとる前後の標高になると、睡眠中の呼吸では酸素の量が追いつかず酸欠になり、息苦しくなったり思考が低下したりするそうで、気をつけないと睡眠中に命を落とすこともあるそうだ。短い時間間隔で目を覚まし、酸素を補給してやるのが正解だそうです。




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