デイ(日帰り)ハイキング
 Bヤンガヌコ湖とラグーナ69 (Llanganuco Lakes & Laguna 69) 


 ラグーナ69( Laguna 69  4,580m) 拡大→
ヤンガヌコ湖((Llanganuco Lakes)はワラス(Huaraz)から車で2時間少々で行ける美しい湖です。
ラグーナ69(Laguna 69)はチャクラフ山(Chacraju 6112m)の直下の標高4580mに横たわる氷河湖で、この湖も美しい上に、ここに至るトレイルからは6千メートル峰を次々と眺めることができます。

今回行っていませんが、車でヤンガヌコ峠(Llanganuco Pass 4767m)まで足を運べば、歩かなくても6000m峰の大パノマラを満喫できるようです。このエリアは車の旅だけでもブランカ山群を十分楽しめる所だと思います。

今回は高度順応ではなく、5泊6日のサンタ・クルスとケブラーダ・ウルタ,(Sta Cruz & Quebrada Ulta )のトレッキングを歩いた翌日のデイハイクだったので、疲れもありコンデションを見ながら歩ける所まで歩くということで出発しました。予想通り身体が重く、Mieの体調ももう1つでしたが、次々と変化する素晴らしい景色を眺める内に、もう少し、もう少しと欲が出て、結局ラグーナ69にたどり着いてしまいました。

 このデイハイクの位置はブランカ山群の地図に示しています

 (参考地図: Alpenvereinskarte Cordillera Blaca Nord 1/100,000)

 

 インターネット情報
    ブランカ山群地図:ブランカ山群・ワイワッシ山群地域 / ブランカ山群地域の地図

 歩いた日: 2007年6月10日

 コース:
Huaraz⇒(車2h30min)登山口→(1h)急登り開始→(1h30min)池→(1h)Laguna69(昼食45min)→(55min)池→(1h10min)登山口 
合計時間:5h35min  最高標高:4580m  標高差:780m

ヤンガヌコ湖

ワラスのホテルにガイドがタクシーで迎えに来た。今日の車はトレッキングに出発した時と同じ三菱のRV車でこれなら安心だ。今日のガイドはガイド会社の兄弟の末っ子でローランド・ヨシオ・モラレス、英語が下手でタクシーの運転手の方がうまい変な取り合わせとなった。
7時15分にホテルを出発。ユンガイ(Yungay)まで幹線道路を走り、ここから山道に入る。ここの山道は、走った中では一番ましな道路で、舗装などはもちろん無いが、比較的整備されていた。途中、国立公園の入り口があり、1日券の5ソール(約200円)を払い先へ進む。
やがて切り立ったV字の谷に入り湖が現れる。この湖の横を車が走り、更にもう1つの少し大きい湖の横を通る。有名な観光地・ヤンガヌコ湖(Llanganuco Lakes)だ。しかし停車して景色を眺めさせるわけでもなく走り続ける。ワラスから約2時間半、少し小高い位置で車を下りる。標高は約3800mだ。
振り返ると、通り過ぎてきたヤンガヌコ湖がV字の谷に横たわり良く見える。

草原からチャクラフ(Chacraju 6112m)を見る 

車を下車した所から少し下ると谷あいにセボヤパンパ(Cebollapanpa)の草原が広がり、これを北に向かって歩く。

草原の入り口はキャンプ場になっていて、ブランカ山群では一番賑やかな場所と感じた。

正面にチャクラフ(Chacraju 6112m)が聳えて見える。この山の麓にある氷河湖が今日の到達目標だ。写真に見える岩の一番低い辺りかなと思ったが、行って見たらそこから遥かに上だった。

草原を歩く途中で、イスラエルから来たという若い男女20人ほどのグループを追い抜く。グループの1人が歩けなくなってしまったようだ。高度が高い所では、多人数が一緒に行動するのは大変なことだ。

↑チャフラフの氷河の山と滝  
 滝と5700mの白いピーク→

ほぼフラットな草原を約1時間歩くと、左手前に滝が見え出しジグザグの急な登りになる。滝の上にはチャクラフの山が聳え、振り返るとペルー最高峰のワスカランの南峰と北峰が威容を誇る。
苦しい登りだが景色は素晴らしい。

ワンドイ・南峰(左)と北峰 ワンドイ・南峰

更にジグザグの登りを進むと左手に白いマッターホルンのような特異な形をしたピークが顔を見せる。ワンドイの南峰(Huandoy Sur 6359m)だ。その右に北峰(Huandoy Norte 6395m)の頭が見える。

滝の高さまで登った辺りでジグザグの道がようやく終わって休憩をとる。歩いてきた谷のセボヤパンパ(Cebollapanpa)草原が眼下に見え、その向うにワスカランが大きく聳える。
ワスカランの山は何処から見てもすばらしい。
ペルー最高峰のワスカランの南峰(左 Huscaran Sur 6768m)と北峰(右 Huascaran Norte 6664m)   拡大→

急登が終わって再び緩い登りの草原に入る、途中小さな池を通る。歩き出して約2時間半、標準時間ではそろそろ着いていなければならない時間なのでこの辺りに目的のラグーナ69の氷河湖があるのかと思ったが、当てが外れた。今度は左に向かって歩き出し、その先にはまたジグザグの急な登りが待っていた。

ヤナパクチャ(yanapaccha 5593m)



あえぎあえぎ登る途中、Mieが腹痛を訴えだした。ガレ場の急な傾斜でトイレの場所もないので、だましだましゆっくり登る。幾つかのグループに追い抜かれ、下りてくる人からは激励を受ける。
景色はすばらしい。直ぐ右手の後にヤナパクチャ(yanapaccha 5593m)が聳え、振り返ればワスカラン南峰の左に尖ったピークのチョピカルキ(Chopicalqui 6354m) が見える。


チョピカルキ(Chopicalqui 6354m)   ワスカランの南峰

ラグ-ナ69の湖越しのピスコ(Pisco)




やっとジグザグの急坂を登りきると、ついに正面に氷河湖のラグーナ69が姿を現した。Mieは景色を眺める間もなく岩陰に直行。戻ってきた顔色を見ると少しは落ち着いたようだ。
歩き始めた時に、ガイドはもし時間があれば、ラグーナ69からもう少しピスコ(Pisco 5750m)の方向に歩くと言っていたが、とても無理。我々にはここで十分だった。

太陽の光を反射して、水の色は氷河湖独特のトルコ石の色でキラキラと輝いている。湖の左手にはピスコ(Pisco 5750m)のピークが聳え、正面はチャフラフ山の氷河と岩壁がそそり立ち、滝が流れ落ちている。歩いてきた人は一様に同じ向きに腰を掛け湖と氷河を眺めている。この景色は見ていて飽きない。
午後1時過ぎの遅い昼食をとるが、食欲が無い。Mieは殆ど食べられないが、オレンジとジュースは何とか食べたようだ。風が強くなり防寒具を着ても寒くなってきた。
身体が冷えそうなので、美しい湖を後にする。


 標高4570mのラグーナ69と、標高 6112mのチャフラフ山の氷河と岸壁と滝


戻り始めると直ぐチョピカルキの尖ったピークが正面に見え出す。登りで苦労したジグザグの道も、下りは正面にヤナパクチャのピークを見ながらで気持ちが良い。
チョピカルキの山を正面に見て下りを開始  拡大→ ヤナパクチャのピーク見ながらの下り

あえぎながら登ってくる何組かのパーティーに出会う。このトレイルは人気コースのようで、今まで歩いたブランカ山群の中では一番多く人に出合った。
池を通過し再び急な下りに差し掛かった所で、馬の手綱を持ち荷物を担いだポーターとガイドの7〜8人を従えて、日本人の男女6人が全員馬に乗って登ってくるのに出合った。今日は上でキャンプを張るそうだ。自分の足で歩く人しか見ないトレイルなので、何か不自然で異様な感じを受けた。

日陰の草原から光の中のワスカランを見ながら歩



最後の急な下りを過ぎ草原に戻りワスカランを正面に見ながら平らな道を歩く。まだ3時過ぎなのに太陽の光が山で遮られ草原の日陰がどんどん我々を追い抜いて行く。もう直ぐ日没にになるような感じで、歩いていても寒い。草原を約1時間歩いてようやく車が待つ登山口に着いた。
今日ここで泊まるハイカーのテントが幾つも見える。

登山口からヤンガヌコ峠を望む
(V字の一番低い所)



車に乗る少し手前から東のほうを見上げると、車で4800m近くまで行けるランガヌコ峠を見ることができた。V字の一番低い所が峠で、ここからの眺めは素晴らしいらしい。


ブランカ山群も今日で終わり。疲れたが、お勧めのデイ(日帰り)ハイクコースだと思う。



ラグーナ69(Laguna 69)の名前の由来

ラグーナ69はどのようにして付けられた名前なのかとの質問が掲示板にありました。色々調べたのですが手掛りが無く、ガイドをしてもらったPeruvian Andes Adventuresに問合せをしました。15日間のトレッキングのガイドをして丁度今帰ってきたところだと言いながらも、”69”の由来を調べてくれて、その詳細をメールで教えてもらうことができました。以下はその内容です。

1970年5月に、この地にマグニチュード7.7の大地震が発生した。地震はペルー最高峰のワスカラン(6768m)の雪崩と岩稜の大崩落を引き起こし、10数km離れたユンガイの町を埋め尽くし2万人の死者がでた。
地震の後に、地質学者はこの地震でユンガイの町のようにモレインや氷河湖が破壊されているのではないかと心配し、ブランカ山群域の調査をすることにした。調査をし易くする為、無名の氷河湖にそれぞれ番号を付けて整理しやすくした。ラグーナ69の湖には名前が無く、69番目の整理番号が付けられた。
調査完了後において、ブランカ山群を管理する地方の役人が、調査時の”69”の名前をそのまま湖の名前とすることに決めた。以来今までずっとラグーナ69の名前で通っている。   
ペルービアン・アンデス・アドベンチャーズ アナ(Anne)より

40年前までは、こんなに美しい湖でも名前がなかったんですね。そういえばブランカ山群の地図を見ても、湖に名前が書いてあるのはごく僅かしかありません。

    

ピスコ(Pisco)の山の名前の由来

ペルーに行ったことのある方なら、ピスコと聞けばアルコール度の高いペルーのブランデー(蒸留酒、リキュール)を思い出す人が多いのではないかと思います。また今年(2007年)8月15日にマグニチュード8.0の大地震が襲ったペルーの都市・ピスコの町の名を思い出す人もおられるかもしれません。何か関係があるのかと思って調べてみた結果は次の通りでした。

ピスコ(Pisco 5750m)の山は1951年に始めて登頂されました。この時に登頂を祝い沢山のピスコ酒を飲んだので、これにちなんでこの山をピスコという名にしたとありました。本当だろうか?

ピスコ酒の名前はというと、ピスコの町の周辺はブドウの産地として有名で、沢山のワイナリーがあり、ピスコでとれたブランデー(リキュール)なのでピスコ酒と名前がついたとあります。

ピスコの山も60年ほど前迄は無名峰だったということですね。





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