ワイナピチュ山 と マチュピチュ山 (Huayna Picchu & Cerro Machu Picchu) |
ワイナピチュ山(Huayna Picchu 2,750m) |
歩いた日:2007年6月17日 コース:Huayna Picchu Gate→(50min)Peak(25min休憩)→(45min)Gate 合計時間:1h35min 最高標高:2,750m 標高差:350m |
マチュピチュ遺跡の写真に必ずといって良いほど写っているのがワイナピチュ山だが、急峻なので、どこにトレイルがあるのか登るまでは良く分からなかった。 登って驚いた。インカ時代に作られたトレイルがあり、ピーク近くには石組みの段々畑や建物や石段の遺跡が数多くある。ただの岩山ではなかった。 マチュピチュ山から撮ったワイナピチュ山の写真に、トレイルを線引きしてみた。登るルートの概略が分かってもらえるのではないかと思う。 |
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ワイナピチュ山のトレイル | ワイナピチュ山のピーク部分と、 その遺跡 |
また、ワイナピチュ山のピーク部分を拡大してみた。不鮮明だが岩にへばりつくようにして作られた段々が沢山見えます。 この山は朝7時から午後3時の間だけ登ることができる。また1日400人の入山者制限もあるので、なるべく早い時間にスタートした方が良いと思う。 トレイルにはクサリ場が沢山あるが、注意して歩けば誰でも登れる山です。しかし少なくともハイキングシューズ程度の履物と雨具とザックは用意すべきと思います。マチュピチュ遺跡観光のついでに登られる人が沢山いますが、中には荷物を手で持って登る人も見かけました。両手をフリーにして登らないと危険な山です。 ワイナピチュ山もマチュピチュ山も、登るにはマチュピチュ遺跡の入場券を買わないと登山道に入れません。アグアスカリエンテスの観光案内所で入手できます。入場券は一人120.5ソール(約5,000円)とやたら高いのが難点です。 |
アグアス・カリエンテスのホテルで朝5時に朝食、真っ暗な中、5時半発のバスに乗るので急ぐ。今日はペルーに来て始めてのガイド無しデイ・ハイキングの日でもあり、ペルー最後の山歩きの日でもある。沢山の人がバス乗り場に並んでいる。発車時刻になるとバスが次々に来てスムースに出発。6時にマチュピチュの入り口に着いた。昨日見たマチュピチュの遺跡をもう一度見ながら、ワイナピチュ登山のゲートに向かう。6時半にワイナピチュ登山口のゲートに着いたが閉まっている。開門は7時と入り口に書いてある。 |
近くを散策し、開くのを待つ。朝日が遠くの氷河の山を照らし、遺跡には雲が流れる。昨日の朝と同じだ。 | |
遠くの氷河の山に朝日が当たる | 朝日の前のマチュピチュ遺跡、後方はマチュピチュ山 ワイナピチュ山の登山ゲイト近くから見る |
約20〜30人ほどの登山者がゲート近くで待つ中、朝7時ぴったりにゲートが開く。ゲートには小さな小屋があり、ここで登山者ノートに記入し出発する。たまたま一番の出発になる。 少しの間下るが直ぐ登りになる。早速鎖場が現れ急な登りが続く。鎖を持つと朝露で濡れた鎖の錆が手にべったりと付いて取れない。なるべく鎖をもたないようにするが、そうも行かないところもあって、登るにしたがい両手は赤錆でべたべたになってしまった。一番目に歩いているので、誰も先にいない心地よさはあったが、鎖の錆びには参った。 中腹辺りから、マチュピチュ遺跡が見下ろせるようになり尾根筋の向かいにはマチュピチュ山が良く見える。 朝日が丁度マチュピチュ遺跡を照らし始めた。 急な登りが続き、突然遺跡が現れテラスのような場所に出る。ウルバンバ川が真下に見える。 なおも登ると、岩のトンネルがあり這うようにしてくぐる。石組みを過ぎると頂上にでた。 |
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ワイナピチュの中腹から 朝日の当たり始めたマチュピチュを見下ろす |
頂上には、大きな石が不規則に重なり合っていて不安定な感じだが、一番高いと思われる石の上に立つ。360度の景色だが、やはり目に入るのはマチュピチュ遺跡。ここから見下ろす遺跡は整然とした並びで、巨大な宇宙基地のようにも見える。 正面に位置するマチュピチュ山のトレイルが見えないか探すが、ここからでは分からない。遠くに氷河のピークが見える。 昨日、インカブリッジを見に行ったが、ブリッジがマチュピチュ山の右側の垂直に切れ落ちた下に位置するのが良く分かる。すごい所に道を作ったものだ。 マチュピチュ遺跡の方角以外は、ウルバンバ川が蛇行しワイナピチュ山をぐるりと取り囲んで切れ落ちている。 |
頂上の石の上に立つと足元が何も無いような感じで、あまり気持ちの良いものではない。次々と登山者がやってくるので、石の上のベストポジションを空けて、下山する事にした。 | |
ワイナピチュから見るマチュピチュの遺跡(下)とマチュピチュ山(左), 右遠くに氷河のピークが見える |
拡大したマチュピチュ遺跡 |
帰りは反対側の斜めになった一枚岩の上を下る。雨などで濡れているときは、来た道を戻る方が安全だと思う。 少し下ると石組みの階段になり、突然住居跡が現れる。崖の横にへばりつくようにして建てられている。真下にはウルバンバ川が見える。何故こんな所に家が、と思う。解説書にはマチュピチュを外敵から守る見張り小屋だったという説が書かれていたが、本当だろうか。 住居の遺跡からウルバンバ川が見えるということは、ウルバンバ川からもこの遺跡が見えるはず、マチュピチュ遺跡が発見された1911年までに望遠鏡などで、下から見えなかったのだろうかと疑問に思った。当時は木や草で覆われていたのだろうか。 更に下り、もう1つの住居跡を過ぎると、ハシゴのように巾の狭い急な石の階段が真っ直ぐ下に伸びていてる。ここを慎重に下ると登ってきたトレイルと合流し来た道に出る。次々と登ってくる人がいるので、何度も待つ。 登ってくる人を見ると日本人が1〜2割はいるような感じだ。 |
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頂上下の崖に建つ住居の遺跡 ウルバンバ川が見える |
無事登山口のゲートに着き、出発時に書いたノートに到着時間を書く。帰りも一番早く着いたようだ。 手に付いた鎖の錆びで両手がドロドロなので、手を洗いたいが何処にもトイレや水道が無い。遺跡の真ん中辺りに「太陽の神殿」と呼ばれる建物があり、その横から水が流れインカ時代の「水汲み場」があったのを思い出した。行ってみると丁度1mほどの高さから水が落ちるように石組で作られていて、格好の手洗い所に見える。 ここも遺跡の1つで観光客が行き交い眺める中なので、多少のためらいはあったが、先ず手を洗った。その気持ちよさから次には顔を洗い、更にはタオルも洗わせてもらった。今でも十分に役に立つ水場であることを実感した。 |
マチュピチュ山(Cerro Machu Picchu 3,050m) |
歩いた日:2007年6月17日 コース:登山口表示→(1h20min)尾根→(15min)頂上(昼食45min)→(1h15min)登山口表示 合計時間:2h50min 最高標高:3,050m 標高差650m (注)マチュピチュ遺跡の入り口から登山口表示までは往復約40分程度かかります。 |
マチュピチュ山(Cerro Machu Picchu)はマチュピチュ遺跡を中心にして、ワイナピチュ山の反対側にそびえている山です。この山は入山制限も無く、登る人も少ないので、のんびりと登る事ができます。この山にも石組みの立派な階段があるので、トレイルはインカ時代からのものと思われます。 登山口は、マチュピチュ遺跡からインティ・プンク(太陽の門、Inti Punk 2,700m)に向かう道の右側で遺跡のはずれにあります。入り口には小さな石の表示がありますが、分かりにくい入り口です。インティ・プンクへの道を進んで両側が林になってしまったら行き過ぎですから戻ってください。 トレイルは特に危険な所も無く、登山口からは一本道ですので迷うこともありません。ただ、標高が3000mを越えているので観光で来て突然登るのは”しんどい”かもしれません。デイハイキングの装備が必要です。 |
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マチュピチュ山のトレイル |
ワイナピチュ山を登った後にマテュピチュ山に向かった。ウェブサイトで、マチュピチュ遺跡からインティプンクへ行く道の途中に登山口があるのは知っていたが、どんな所にあるのか知らないままに進んだ。右側を注意深く見ながら歩いたが分からない。遺跡を過ぎ坂道をどんどん登ってインティプンクの中間辺りまで行っても見つからない。おかしいと思い引き返した所で、現地のガイドとおぼしき人に会ったので聞くと、ずっーと下の遺跡の所にあるという。大分通り過ぎてしまったようだ。 戻りかけた所でリャマと合う。 約50分もロスして遺跡に戻る。遺跡に少し入った石垣の間に道があって、その入り口に小さな石の表示が立っていた。やっとトレイルに入ることができた。 |
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行き過ぎて、 インティプンクへの道で リャマと記念写真 |
マチュピチュ山の登山口表示 |
登山口から遺跡の間を少し進むと、直ぐ林に入る。道ははっきりしている。木の合間からインティプンクの遺跡が見えるが、あまり変化の無い景色が続く。途中マチュピチュが真下に見える所があり、ちょっと休憩。これを過ぎると次第に勾配がきつくなり、途中から立派で急な石の階段が続く。周りに花咲き、振り返るとマチュピチュ遺跡とワイナピチュの山が真下に見える。 石段が終わると尾根に出て尾根筋を登る。左側が急角度で落ちているので気をつけて歩くと、暫くしてせり出した頂上に着く。 |
尾根の取り付きから マチュピチュの遺跡とワイナピチュ山を見下ろす |
マチュピチュ山の頂上 |
頂上から少し下がったところに狭い平らな展望地があり、そこに大きな7色の虹の旗が元気よくたなびいていた。虹の旗はインカの旗ということだ(今はクスコの市の旗にもなっているそうだ)。良く吹き飛ばされずに頂上にあるものだと感心する。 | |
頂上に立つインカ旗 |
この展望地から真下にマチュピチュが見え、ワイナピチュ山の全景が見え、その周りに右からぐるっと回って左に流れるウルバンバ川の様子が良く分かる。 ワイナピチュ遺跡を発見したアメリカの歴史学者・ハイラム・ヒンガムは、左側の急角度で落ちている崖側からよじ登って遺跡を見つけた、と書物にあった。頂上から地形を眺めていて、右側の比較的なだらかな斜面(バス道路側)から登らなかったのは、多分当時は右側のウルバンバ川上流には道は無く、下流から遡って来たので左側から登るしかなかったのではないかと勝手に想像してみた。 |
マチュピチュ山から見る マチュピチュ遺跡とワイナピチュ山と周りを流れるウルバンバ川 |
マチュピチュ遺跡と ワイナピチュ山の拡大 |
マチュピチュ遺跡の方角と反対側を見ると、インカトレイル3日目のサードパス(Third Pass 3,670m)が遥か上に見える。写真に赤印のマークをつけてみた。この峠からどんどん下って到着したテント場・ウィナイ・ワイナ(Winay Wina 2,700m)が下に見える。写真に青印のマークをつけてみた。 4日目の朝、マチュピチュ遺跡に向かって歩いたトレイルも写真の下のほうに見える。 遥かかなたから高い山を縫うようにして石畳の道が造られ、マチュピチュの町が築かれた。その必然性とエネルーは何処にあったのだろうか。この山の頂上に立って、改めてその不思議さを感じ、驚きを覚えた。 |
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インカトレイル3日目のサード・パスとテント場が見えた 赤印:パス(Third Pass 3,670m)、青印:テント場(ウィナイ・ワイナ、Winay Wina 2,700m) |
昨日買ってきたパンとリンゴをかじりながらのんびりと景色を眺める。 頂上付近の草むらを見ると鮮やかなツートンカラーのランの花が咲いている。インカの虹の旗の赤と黄と同じような色をしている。正にインカの花だ。 頂上のひと時を堪能し下山する。尾根から下る石段がものすごく急に感じる。カニの横這いのようにして下りる。 帰りは同じ道を下り、登山口を経てマチュピチュ遺跡のゲートに着いた。 今日で全てのペルーの山歩きが終わった。 |
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頂上付近に咲くランの花 | 尾根から急な石段を下る 真下にマチュピチュ遺跡が見える |