ニュージーランドの山歩き事情

ニュージーランドでは、急峻な山や谷、白く輝く雪や氷河、トルコ石色の海や湖、近くに寄ってくる愛くるしい小鳥など、島国とは思えない大自然の中で山歩きを楽しむことができます。
また、海岸近くや川沿いにも沢山のトレイルがあるのもニュージーランドの特長です。
しかも、歩くトレールは良く整備されていて分かりやすく、山小屋も良く管理が行き届いていて、素晴らしい自然の環境の中に浸ることができる所が多くあります。

出発前でも、着いてからでも、山歩きに必用な情報は入手しやすく、個人で行く場合でも計画は比較的立てやすい国です。

バンクス半島、オカイナ湾
一方、自然を残す思想も強く、リフトやゴンドラは極限られた所しかなく、自分の足で歩くのが基本です。また、ルートを探しながら歩くハードなコースも沢山有り、下調べを十分にしてから入るよう心がけたいものです。


このページのタイトル
(1)「山歩き」をニュージーランドでは何と言う
(2)出発前の情報集め
(3)現地に着いてからの情報集め
(4)装備、サンドフライ対策
(5)山小屋(ハット;Hut)の利用方法
(6)持って行く食料
(7)バス、鉄道、車(道路)



(1)「山歩き」をニュージーランドでは何と言う

一般的に「ウォーキング(Walking)」や「ウォ−ク(Walk)」と言っています。日本のニュージーランド旅行ガイド本にも「ウォーキング」と書いてあるのが多いように思います。スニーカーで歩ける易しい山歩きから、かなりハードなテント泊長期トレッキングまでの全てをウォーキングと言っているようなので、日本で言われるウォーキングとはニュアンスがだいぶ異なります。
ニュージーランドの「ウォーキング」という言葉は、カナダやヨーロッパ・アルプスなどで使われる「ハイキング」という言葉と同じニュアンスで使われているように思います。ハイキングという言葉も日本の使い方とは異なります。

また、ニュージーランド特有の山歩きの言葉があって、テントや山小屋(食料や寝袋持参)に泊まって歩くトレッキング(Trekking)をトランピング(Tramping)と言い、トランピングをしている人をトランンパー(Tramper)と呼びます。日本人でも、ニュージーランドの山が大好きな人は、トランピングやトランパーという言葉を好んで使っているようです。



(2)出発前の情報集め


@旅行ガイド本
ニュージーランドに関する旅行ガイド本が沢山ありますが、私は山歩きのトレールが載っている「地球の歩き方」と「個人旅行」の2冊を購入しました。両方とも山歩きに関する記載内容はさほど詳しくはありませんが、各地のウォーキングの概略が満遍なく書いてあるので、始めてニュージーランドの山歩きをするのに、その凡そが理解できて役立ちました。


Aインターネットによる情報

*ニュージーランド全体と各地の情報
ニュージーランドの観光関係のサイトは沢山ありますが、代表的なものに、ニュージーランド政府観光局公式サイト「100% Pure New Zealand」があります。基本的なことはこのサイトを見ればわかります。
 
  ニュージーランド旅行情報サイト(日本語);100% Pure New Zealand 観光編

各地域の観光公式サイトへは、上記のサイトの中の「各地域の案内」をクリックすると入れます。 宿の情報はこの他にも沢山のサイトがあり、捜していくと、より多くの情報を見つけることができます。

*山歩きの情報
何といってもDOC(Department of Conservation, 環境保全局)のサイト(英語)を先ず見ることが一番です。
このサイトにはニュージーランド各地のウォーキング・コースの紹介、コースの地図、アクセス方法、山小屋の予約、山小屋の使い方や持って行くものなど、知りたいことの殆どが網羅されております。DOCのサイト1つで山歩きに関する情報の大方を入手できる国はニュージーランド以外には無いでしょう。

*2006年のシーズンからDOCのサイトの内容と構成が全面的に変わりました。同時に予約方法なども変更になっていますので、これに合わせDOCに関する記述を訂正しました(2007. 2)。

*天気予報
ニュージーランド全土、それに山岳地域の天気予報をも網羅するする天気予報サイト(Weather Online New Zealand)があります。インターネット・カフェ等、パソコンを使える所があれば、現地に着いてからの方が役立つサイトです。出発前にサイトを開いて、どんな予報が見られるか調べておくと良いでしょう。

*グレートウォーク(Great Walk) の殆どは予約が必要
ニュージーランドのウォーキングトレイルの殆どはDOCが管理していています。沢山のコースがありますが、その中でも最も景色が良く、道も山小屋も整備されたものをグレート・ウォーク(Great Walks) と呼んでおり、北島に3つ、南島に6つのトラック があります。このグレート・ウォークを歩くには、そのほとんどが予約が必要になります。予約はオンライン、郵送、ファックス、電話、DOCのオフィースに直接行くなどの方法がありますが、日本からならオンラインでするのが簡単だと思います。
  
  DOCのグレート・ウォークに関するサイト(英語);Great Walks 

一年中予約が必用なグレート・ウォーク ピークシーズンに予約が必要なグレート・ウォーク
(ピークシーズン:10月1日から4月30日)
 ・レイク・ワイカレモアナ・トラック
 ・エイブル・タズマン・コースト・トラック
 ・へーフィー・トラック
 ・ミルフォード・トラック
 ・ルート・バーン・トラック
 ・ケプラー・トラック

                    

ピークシーズンに予約が必要なグレート・ウォークのオンライン予約は、7月1日から受付が始まります。人気のあるグレート・ウォークは早めに予約をしておかないと、満杯になってしまい、歩くチャンスを失うおそれがありますので、計画は早めに立てましょう。

*ビザ取得
3ヶ月未満はビザが不要ですが、3ヶ月以上の滞在はビザが必要になります。ビザ申請書類はインターネットからダウンロードできます。記入して、大使館に郵送すれば意外に簡単にビザを取得できます。
  
  ビザ取得に関するサイト(日本語);ニュージーランドビザ申請の手引き




(3)現地に着いてからの情報集め


@先ずは、i-SITE(ビジター・インフォメーション・センター)と、DOCビジター・センター(DOC Visitor Centres)へ行きましょう

i-SITE (ビジター・インフォメーション・センター)
大きな町の中心に立派なi-SITE(アイ・サイト/ビジター・インフォメーション・センター)が必ずあります。i-SITEは公式な観光案内所のネットワークで、手数料無しで宿泊・交通・各種アクティヴィティー等の予約やチケットの購入ができます。また、各種パンフレットやガイドブックが置いてあり、旅行の情報を得ることができますし、分からないことは窓口で聞けば親切に教えてくれます。
土曜・日曜も開いていているし必要な資料を入手したりガイドブック等を購入できるので大変便利です。
ただ、小さな町や村では、i-SITEではなく、i の表示だけのインフォメション・センターがありますが、i-SITEと同じように予約や問合せの対応をしています。

予約(ブッキング)の窓口は大変混む場合があり、列を作って長時間待たねばならないこともありますので、窓口が開く時間に合わせて朝早く行くのが得策です。
また、日が跨ったり乗換えなどのある切符を申し込むなど、ややこしい切符を予約する場合は、スケジュールを書いたメモを窓口で渡して説明したほうが間違いが無く、発行の処理も早くて済みます。

町を歩くと、i(アイ)の看板が沢山目に付きます。これは各種アクテヴィティーの業者のオフィースですので、良く確認する必要があります。



DOC ビジター・センター(DOC Visitor Centres)
DOCがハイキングや登山者の為に開いている案内所です。多くはi-SITEと同じ案内所にありますが、クライスト・チャーチやクイーンズタウンでは別になっています。DOCは国立公園などの自然公園の管理や動植物の保護、森林や海や海岸の管理全般を管轄する役所です。この部門がトレイルの整備や、アルピニストやウォーカーへのサービス業務をニュージーランド全土にわたって一括して行っています。

DOC ビジター・センターでは、トレイル情報や山岳天気予報を知ることができますので、歩き出す前に必ずDOCに寄ってから出発すべきです。
またグレート・ウォークの予約をしてある場合は最寄のDOCビジター・センターに予約表を持参し、事前に登録しておかないとキャンセルされてしまいますし、トレイルによっては、歩き出す前にインテンション・カード(入山届け)を提出しなければならないなど、山を歩く人にとって、DOCは最も重要なオフィースといえます。

DOCでは無料のパンフレットやトレイルの地図が入手できますし、有料の地図付きのガイド冊子や5万分の1の地図、それに各種ガイド本などを購入することができます。



DOCで入手した代表例を下に示します。

グレート・ウォーク
(ミルフォード・トラック)
のパンフレット(無料)
グレート・ウォーク
(ミルフォード・トラック)
のガイド冊子(有料)
グレート・ウォーク以外の
ガイド冊子(有料) 
5万分の1の地図
(有料)

・各グレート・ウォークの出発地のDOCには無料のパンフレットが置いてあります。内容はDOCのサイトに掲載されている内容と同じです。地図も載っていて、かなり詳しくトラックの内容が書かれていますので、グレート・ウォークを歩くにはこれだけでも十分です。

・グレートウォークの有料のものは更に詳しい内容が載っていて、地図も細かく広い範囲が印刷されていて、周囲の山の名前や地形を良く知りたい時には有用です。ただ、この有料の冊子はインクの臭いが強烈で、広げる度に気分が悪くなりました。その後改善されているとよいのですが。

・グレート・ウォーク以外のウォーキングトレイルは、トレイルごとに小冊子が有料で発行されています。大抵モノクロの印刷のようです。

・5万分の1の地図はガイド冊子があれば、通常のトレイルを歩くのには必用がないと思います。広げるととてつもなく大きくて扱いに困りました。

ガイド本

・左はクライストチャーチのDOCで購入したカンタベリー州のウォーキング・ガイド本です。各地のDOCには色々とローカルのウォーキング・ガイド本がありますので、良いものがないか覗いてみるのも楽しいものです。




A本屋さんも覗いて見よう
一般的な紹介本は本屋さんの方がやはり豊富です。
花や鳥の本、ドライブ用の道路地図などは本屋さんで買いました。

    山の花の本 庭の花・木 道路地図

・ニュージーランドの山の花は綺麗な花もありますが、カラフルなものが少なく、思ったほど多彩ではありませんでした。
それよりも、10月11月頃の町中の庭の花は素晴らしいと思います。花木は、その全部がと言っていいほど世界各国から入ってきた花ばかりですが、その豪華さと鮮やかさは、他の国では見られないレベルではないでしょうか。ガーデンの花木の図鑑を買っておくと、花への興味が倍増すると思います。

・「ニュージーランドでは、鳥を観察するのに双眼鏡は必要ない」、と言っていいほど鳥を近くで見ることができます。中には足元まで近寄ってくる小鳥もあります。鳥の種類も大分日本の鳥とは違っているので、鳥の図鑑を一冊購入しておくと、一層楽しい山歩きができます。



(4)装備

夏のウォーキングの装備について書いてみます。

@日帰りウォーキングの装備
服装や持って行くものは、サンドフライ対策以外は日本で山歩きするときと基本的には同じと考えてよいと思います。
ただ、標高が低くても日本の夏山よりは全般に温度が低いので寒さ対策が必用です。

南島の西海岸沿いの山歩きは、特に雨が多いので、しっかりした雨具とザックカバーを持っていくことが必須です。強い雨降りの時には、背中からザックの中に水が浸み込んで中が水浸しになることもありますので、ザックの中身はビニール袋などでしっかり包み、濡れないように心がけることが大切です。
DOCのオフィースではザックの中身を丸ごと入れられる大きくて丈夫なビニール袋が売られています。

湿地帯や水溜りを歩いたり、小川を渡ることが良くあります。雨の日はもちろんですが晴れの日でもスパッツは必ず持っていくべきです。ズボンの汚れ防止だけでなく、水の中にポチャンと靴が丸々入ってしまっても、スパッツをつけていると靴の中に入る水は最小限度で済みます。その意味では、ショートパンツの時でもスパッツは有効です。

晴れの日は、日本より遥かに強い紫外線のもとを歩くことになります。新聞の天気予報欄には、毎日、紫外線情報が出るほどの国です。帽子とサングラスは必需品。曇りだからといって安心はできません。必ず顔だけではなく、露出している皮膚には日焼け止めのクリームを満遍なく塗ることを心がけましょう。


サンドフライ対策
サンドフライ(sandfly)というブヨ(ブト)のような小さな虫がいます。刺されると(噛まれると言った方があたっているかもしれません)チクっと痛みを感じ、その後かなりのかゆみが長い間続きます。個人差があるようですが、私は蚊やブヨのかゆさよりもずっとひどく感じました。町にはいません。川や湖や海岸に近いところに多くいるようです。見晴らしの良い尾根筋や山小屋の周りにもいますので、一概に何処で注意したらよいかと言えない困った虫です。夜や山小屋の中では刺さないと聞いていましたが、温度が高くなると場所や時間に関係なく刺してきました。


<刺されないようにするためには>

1、動く
動いている間は刺しません。歩いている間は大丈夫ということです。休んでいるときも動いていれば、体の回りにサンドフライが群がっていても刺されません。しかし、何時も動いているわけにも行きませんので、対策の一部でしかありません。

2、肌を露出させない
布の上からは刺さないようです。暑苦しさを我慢できない人にはお勧めできませが、できるだけ肌を出さないような衣類を着れば効果があります。ただ、手の指や耳、首なども刺しますので、長袖、長ズボンなら安心ということではありません。

所で、長袖を着ているのは、大抵日焼けを嫌う日本人の女性だけで、ヨーロッパ人の男女とも、半袖またはノースリーブ、それにショートパンツの人も多く見かけます。

3.防虫剤(インセクト・レペラント:Insect Repellent)を塗る
日本で売っている防虫剤は効きません。ニュージーランドで買います。薬局や、アウトドアー商品店、DOCのオフィースなどで売っています。防虫効果の有効成分(ディート:DEET)の濃度が30%程度の低いものから70〜80%の高いものまでありますが、先ずは中程度のものを購入されたら良いと思います。スプレー式、スティック式、ローション式など色々なタイプがあります。
身体に優しいとしてディート成分の入っていないものも売られておりました。

効果の持続時間などの効能が書かれておりますが、書かれている時間までの持続効果は無かったように思います。何はともあれ、気がつた時に時々塗るようにしていました。

塗ったから、サンドフライが近寄ってこないというものではないようで、皮膚に止まっても刺さずに直ぐ飛び立つといった具合です。スプレー式の防虫剤でサンドフライに噴きかければ、キンチョールで噴きつけられた蚊の如くパタパタと落ちるというものではありません。スプレー式もあくまで皮膚に塗るためのものです。


<刺されたら>

かゆくて掻くと刺されたところから血が出たり、腫上がってしまいます。我慢するのが難しいですが、掻かないことが痒みを早くとるコツのようです。
痒み止めの薬は、塗ると痒みも多少緩むという効果ばかりでなく、掻かなくて済むたためにも役立ちます。塗るとスーとするものが良いと思います。
日本から持っていっても良いですが、ニュージーランドの薬局で買った方が効果が高いかもしれません。
正直なところ、痒み止めの効果がどの程度あるのか良く分かりませんでしたが、塗れば精神的に楽な気分になれたのは確かです。



A山小屋(ハット;Hut)泊まりのトレッキング(トランピング)の装備

DOCのホームページのサイトにも詳しく書いてありますが、特に気の付いたことを書いてみます。

・ヨーロッパ人は山小屋の中を裸足で歩いても平気のようですが、私には裸足で歩くのはちょっと抵抗を感じました。サンダルなどを持って行くと便利です。山小屋のトイレに行くのにも重宝します。
・山小屋にはストーブのある所がありますので、マッチ(またはライター)の他に古新聞を幾らか持って行くとストーブに火をつけるのが楽です。ストーブで暖房と同時に雨に濡れた衣類を多少なりとも乾かすことができます。
・衣類は着ているもの以外にワンセットを別に必ず持って行くようにします。雨に濡れた時に、小屋に着いたら、直ぐ着替えるためです。翌朝出発の時は、前に着ていた衣類がたとえ濡れていてもそれに着替えます。絶えず乾いた衣類がザックの中にあるようにすることが肝要です。

グレート・ウォーク
グレート・ウォークの山小屋でも一般の山小屋泊まりと装備は基本的に一緒ですが、多くのグレート・ウォークの山小屋では高カロリーのガスコンロが設置されているので、携帯のコンロを持っていく必要はありません。所が有名なエイベル・タズマン・コースト・トラックには、ガスコンロの設置がありません。DOCのホームページの各グレート・ウォークの項に、詳細が書いてありますので、よく読んでから出発するようにしましょう。



(5)山小屋(ハット:Hut)の利用方法

ニュージーランドの山小屋は何処も綺麗で寝るスペースも十分確保され、快適に過ごすことができます。
グレートウォークなどの一部にあるガイド付きのトレッキングでは、3食付きで布団付きベッドの山小屋に泊まることができますが、ガイド無し(インデペンデント:Independent)で歩いて行く山小屋では、食料や調理器具や寝袋等を自分で持って歩く必用があります。

山小屋の使い方はDOCのホームページに詳しく書かれております(英語);バックカントリー・ハット(Backcountry Hut)

通常のトレッキング(トランピング)に使う山小屋を簡単に表にまとめてみました。
2009年1月に修正・追記しました。

ハットの種類 料金 申し込み方法 主な設備
グレート・ウォーク・
ハット
(Great Walk Hut)

グレート・ウォーク・パスが必要
(ハット代 $10〜$45)


各グレートウォークでパスが異なる
年中予約が必要>
・エイベル・タズマン・トラック
・へーフィー・トラック
・レイク・ワイカレモアナ・トラック
オンライン・ブッキング可、予約後確認書が送られてくる。入山前に指定のDOCオフィスでパスを入手。
*トラックにより手続きが多少異なるので要注意。
ベッド、マットレス、トイレ(水洗が多い)、給水、ストーブ、調理用コンロ(無いところもある)

管理人(ワーデン)常駐
<ピークシーズン(10月1日から4月30日)のみ予約が必要>
・ミルフォード・トラック
・ケプラー・トラック
・ルートバーン・トラック
その他のトラック 最寄のDOCオフィースでグレート・ウォーク・パスを入手
サービスド・ハット
(Serviced Hut)
旧名称;カテゴリー2
ハットチケット
$15

(チケット3枚)
DOCのオフィースでハットチケットを購入(1枚$5)


12ヶ月間有効なバックカントリー・ハットパス($90)もある
ベッド、マットレス、トイレ、給水、ストーブ、所により調理用コンロ有り
所により管理人駐在
スタンダード・ハット
(Stanndard Hut)
旧名称;カテゴリー3
ハットチケット 
$5

(チケット1枚)
ベッド、マットレス、トイレ、給水

                  

 


(6)持って行く食料

ニュージーランドのどこの町に行っても、山歩きに適した食料をスーパーマーケットで入手できます。それこそ何でもと言っていいくらい全て入手できます。日本食特有の乾物などは別にして、日本より山歩きに適した食料が多いと言っても良いと思います。

特に良かったと思うものを挙げてみます。

@
昼食、行動食

・パンは食パン形状(スライスして無いもの)で、乾燥果物が入ったガッチリしたものが良い。ザックの中でも型崩れが少なく、しっとり感があるので食べやすかった。商品名はDutch Fruit Roafといい、特に干しぶどうの入ったものが良かった。 マフィンも結構いける。
・少し重いが疲れた時には、果物が特に美味しい。中でもオレンジが当たり外れなく美味しかった。フランツ・ジョセフ・グレーシャーのガイドはバナナをザックに入れていたので、これも良いかもしれない。
・スーパー・マーケットには沢山の種類のドライフルーツが売られています。日本に比べてどれも格段に値段が安かったですが、中でもドライマンゴウが安くて美味しく、何時もザックの中に入れて歩きました。
・板チョコは日本のに比べると段違いに分厚くて大きく、しかも安くて美味しいので、これも何時も持ち歩いておりました。
真夏の日本のように暑さでチョコレートがベトベトになることは一度もありませんでした。
・魔法瓶(テルモス)でコーヒーか紅茶を持っていくようにしています。ザックは少々重くなりますが、熱い飲み物は疲れを取り元気を回復させてくれます。また、食べ物が喉につかえて飲み込めない時に流し込むのにも有効です。



A山小屋泊まりの食料
「軽さと手間ひまかけず」ばかりを重視しして、夕食も例えばシリアルだけ、などですますと、他の人の食事を見て、なんとも侘しくなってしまいます。ヨーロッパ人は、体力に物を言わせて沢山の食料を担いできて、結構豪勢な夕食を作って食べています。競争しても始まりませんが、ある程度は美味しかったというものを食べて、次の日のエネルギーを蓄えましょう。

朝食には
シリアル、パン、インスタント・ラーメンなどが適しています。
・シリアルにはドライフルーツの入ったミューズリーというのが食べ応えがあります。粉末ミルクを入れると牛乳で食べるのと遜色がありません。粉末ミルクは適当な大きさのビニール袋に入って売られています。
・インスタント・ラーメンはマギー社製のものが一般的ですが、タイから輸入されている「YumYum」という商品のチキンスープ味がお勧め。味が日本人に合っているのと、メンが時間が経っても伸びず、適度な硬さを保持しているので食感も非常に良かったです。

夕食には
・トマト味のインスタント・パスタが美味しかった。ドライ・オニオンやミックス・ドライ・ベジタブル(適当な大きさでビニール袋に入って売られています)を入れたり、ハムや鮭缶やマグロ缶やオイルサーディンなどを入れると変化のあるものになります。
・温度が上がらないように水筒と水筒カバーの間に生ハムやスモーク・サーモンを入れて、何度か持って行きました。2日・3日は大丈夫でした。これは贅沢な味でした。
・インスタント・スープ、食後に果物、コーヒー、紅茶、それに日本の昆布茶などが美味しいです。



注意が必用なもの

@
ニュージーランドの水は水道水でも飲めますが、山小屋や沢や湖の水にはジアルジア(Giardia)という寄生虫がいるそうで、山間部の生水は飲んではいけないことになっています。
山小屋の水は前の晩に煮沸しておき、夜中に空冷か水冷して次の日に持って行きました。携帯タイプの浄水器や浄水剤で水を浄化する方法がありますが、煮沸処理は日本でもごく自然にやっていたので、面倒とは思いませんでした。煮沸は3分以上必用と言われています。
ただ、山小屋によっては樹木や枯れ葉からでるタンニンなどで、濁った水しか無いところがあります。この場合煮沸では濁りはとれませんので、濁った水はどうも、という人は携帯浄水器を持っていったほうが良いと思います。

水は1日最低1リッター以上、できれば1.5リッターは持ちたいところです。スポーツ飲料にする粉末を入れると飲みやすくなります。日帰りの山歩きや、山小屋泊まりの初日の日は、何時もミネラルウォーターを買って持っていきました。


A日本からの食料の持ち込み

ニュージーランドは農業国なのと自然を守る為に、他の国より食料の持ち込みがうるさい国と言われています。
しかし、生の食品(お肉・果物・野菜・お米・マヨネーズなど)はダメでも、加工済みのもの(お菓子・インスタント食品)は殆どOKです。
うるさい国だから食料は何も申告しないでおこうとすると、かえって無申告のため没収される場合があります。「持ち込む全ての食品は申告してください」、といのがニュージーランド政府のお願いになっています。



(7)バス、鉄道、車(道路)



@バス

ニュージーランド国内ではバスの交通網が発達し良く整備されていて、観光だけでなく、生活の交通手段にもなっています。料金も安くて便利です。

全国ネットワークのバス会社は2社あります。
最大手は     インターシティー(Intercity)
その次の大手は ニューマンズ・コーチ・ライン(Newmans Coach Lines)

サイトには時刻表や各種割引パスなどが載っているので、事前の計画を立てるのに役立ちます。
この2社以外に沢山のローカルのバス会社があります。各トレイルの体験記の中で、アクセスに利用するバスをその都度紹介しておりますので、参考にしてください。

バスの乗車は全て予約をしておいたほうが安心です。インフォメーション・センターで予約ができます。

A鉄道

鉄道は主に観光のためにあると言って良いと思います。上下一日各1本とか2本といった具合に本数も少なく、スピードも遅いです。しかし各路線とも観光客に人気があり、鉄道を利用する場合も予約をしておいたほうが安心です。
クライストチャーチとグレイマウス間のトランツ・アルパイン路線は、アーサースパス近辺の山歩きのアクセスに便利ですが、他の鉄道は山歩きのアクセスとしては、あまり使うことはないと思います。

B車(道路)
少し急いで遠距離を回りたいという時には、車が役に立ちます。
日本でレンタカーを予約しておいた方が、確実です。
道路も良く、左側通行(右ハンドル)で日本と同じです。

交通ルールも殆ど同じですが、大きく違うのは右の車が優先ということです。例えば交差点で左折する時は、対向車線の右折してくる車が優先です。日本と全く逆になりますので、注意が必要です。
もう1つは一車線の橋などの前にギブ・ウェイ(Give Way)という標識が立っていることがあります。これは対向車優先で、通り過ぎるまで停まって待たねばなりません。

道路で、特徴的なのは、崖があろうが、海岸であろうが、山道であろうが、ガードレールは何処にもありません。山も道路も自己責任です。



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